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八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学 ちくま新書 (544)
 
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八月十五日の神話 終戦記念日のメディア学 ちくま新書 (544) [新書]

佐藤 卓己
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

八月一五日が来るたび、先の戦争のことが語られる。だが、終戦の“世界標準”からすれば、玉音放送のあった「八・一五=終戦」ではなく、ポツダム宣言を受諾した八月一四日か、降伏文書に調印した九月二日が終戦の日である。にもかかわらず、「八・一五=終戦」となっているのは、なぜか。この問いに答えるべく本書は、「玉音写真」、新聞の終戦報道、お盆のラジオ放送、歴史教科書の終戦記述などを取り上げ、「終戦」の記憶がいかにして創られていったかを明らかにする。「先の戦争」とどう向き合うかを問い直す問題作である。

内容(「MARC」データベースより)

1945年8月15日、それは本当に「終戦」だったのか? 「玉音写真」、新聞の終戦報道、お盆のラジオ放送、歴史教科書の終戦記述などのメディアの検証を通じて「終戦」の記憶がいかにして創られていったかを明らかにする。

登録情報

  • 新書: 278ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2005/7/6)
  • ISBN-10: 4480062440
  • ISBN-13: 978-4480062444
  • 発売日: 2005/7/6
  • 商品の寸法: 17 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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34 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By SAH
形式:新書
なぜ8月15日が終戦記念日として認知されているのか、
そのことを問い直した本。

新聞の書評欄で見つけ、大学生協で購入。
生協ではほとんど残ってなかったので、結構売れ筋の本なのかもしれない。

史実としては、
8月14日にポツダム宣言を受け入れ、
8月15日に玉音放送があり、
9月2日に降伏文書に調印
という流れ。

つまり国際的には9月2日が終戦日であるのに、
なぜ日本では8月15日があれほど注目され、
9月2日は忘れ去られたのかを検証し、
その理由としては、
1963年5月14日に、「全国戦没者追悼式」を8月15日に行うことを閣議決定したことや、
また、その他もろもろの8月15日に行われてきたメディアイベント(ラジオやテレビの終戦記念日を扱うもの)を取り上げている。

この閣議決定も戦後約20年たってからのものであるにもかかわらず、
現在における8月15日=終戦記念日の意識を思うと、
メディアの影響力、浸透性はすごいものだと思う。

人々の意識によって、終戦日の認識に差があるというのは面白い。
例えば、広島では8月15日ではなくて8月6日のほうが重要視されるし、
8月末からソビエトの攻撃を受けた北方領土の人々にとっては8月15日は全く終戦記念日といえるものではなく、
沖縄の人々にとって終戦はいつなのか。

また、8月15日の玉音放送を伝える新聞記事に関する記述も面白い、
玉音放送を聞いて、うなだれる人々の写真がたくさん掲載されたが、
例えば、その中のひざをついてうなだれる子どもの写真は、
この写真は玉音放送前に、カメラマンが要求したポーズを
子どもが演じたものを撮影したものであるという、
後にその被写体であった子どもたちが告白して、その事実が判明したという。

常識として根付いてしまったものも、改めて検証してみると、
当たり前の部分が何の根拠もない事実であったりするということを、
立証するところなどが面白かった。

このレビューは参考になりましたか?
23 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By picander トップ500レビュアー
形式:新書
『言論統制』に続き、一般の新書のレベルをはるかに上回る、著者の精緻なメディア研究には敬服します。
本書は、「なぜ、ポツダム宣言受諾(8/14)でもなく、ミズーリ号での降伏文書調印(9/2)でもない、玉音放送の日(8/15)が終戦記念日になったのか?」という問題に対して、玉音写真、新聞・ラジオ、歴史教科書等のメディア研究を通じて、八月十五日の終戦を国民全体が受容していくプロセスを明らかにするものです。
結局は、保守派、進歩派、メディア、近隣諸国など多くの関係者が、「8月15日=終戦」という物語=創出された記憶を必要としたわけです。それは、進歩派と保守派、またメディアが「背中合わせにもたれあう心地よい終戦史観を生み出した」(第三章)と言えます。
『対論 昭和天皇』で原武史氏も披瀝しているように、「日和見」=「時間の管理」が天皇制の権力を支える装置として機能していました。
8月15日の玉音放送も、天皇を祭祀とする儀式として認識すべきと著者は言います。「その儀式への全員参加の直接的な感覚こそが忘れられない集合的記憶の核として残ったのである」(第二章)。
戦後のメディアの終戦特集記事や歴史教科書の終戦の記述を丹念に追いつつ、同時にその研究の視座は、左右の戦後的なイデオロギーから距離を置いた、きわめて冷静で禁欲的な姿勢と言えます。
「理解することと共感すること、研究することと肯定することも異なるはずだが、従来の歴史教科書研究において、そうした知的禁欲が守られたことは少ないように見える」(第三章)
その禁欲さこそが、本書を歴史研究の良書としている所以でしょう。毎年メディアに登場する、8月15日に関するあらゆる言説を読む/聞く前に、一読をお薦めします。
このレビューは参考になりましたか?
19 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
もうひと味 2005/9/15
形式:新書
 実証の部分は見事。「8月15日というのは実際には終戦の日でもなんでもない。たんに玉音放送が流された日である」というのは、そこそこ有名な話ではあったが、著者は「8月15日」がいかにして神話化されていったかを、ほとんど力業とでもいうべき方法で検証していく。さすが、今の日本でトップクラスのメディア史研究者である。

 ただ、最後の提案の部分になるとやや切れ味が鈍る。歴史の授業で、「8月15日に加えて9月2日についても教える」ことで歴史認識問題が解決できるなんていうのは幻想であろう。「歴史教育」自体の正当性が揺らぎ、それ自体が政治的駆け引きの場となっている今、「正しい歴史教育」によって「正しい歴史認識」が生まれるなどというナイーブな考えはもうとうに時代遅れである。結局はこの本の提案自体も、あまたある歴史に対する立場表明の一つにすぎないのだから。

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