瀬名氏の作品の中で一番好きです。確かに長く、三人の視点で書かれているため、途中までは三つの物語を同時並行で読んでいるように感じます。
ですが、三つの話が一つに繋がった時点の「ああ、そうだったんだ!」という驚きは爽快です。
この作品には、作者自身の苦悩を代弁したと思われるキャラクターが登場します。それを読んで私は、これを書いたのが「小説家」というどこか遠い世界の住人ではなく、悩み苦しむ一人の人間なのだと実感しました。
ぞくぞくするようなスリルはありません。でも、時間があるときにじっくりと何度でも読み返したい作品。
私は十代でこの作品に出会いましたが、あまり時間の経っていない小学生時代を懐かしく感じました。もう少し人生を知ってから読めば、また違った読後感が得られるのではないかと思います。
私の人生にちいさな道標をくれた一冊です。