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全集 黒澤明〈第5巻〉用心棒 天国と地獄 赤ひげ の頃
 
 

全集 黒澤明〈第5巻〉用心棒 天国と地獄 赤ひげ の頃 [単行本]

黒澤 明
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登録情報

  • 単行本: 443ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1988/3/18)
  • ISBN-10: 4000913255
  • ISBN-13: 978-4000913256
  • 発売日: 1988/3/18
  • 商品の寸法: 22.6 x 15.8 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 444,829位 (本のベストセラーを見る)
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最も参考になったカスタマーレビュー
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 悠蝶
形式:単行本
『全集黒澤明』全七巻の中ではこの第五巻がエンターテイメントという観点では最高だと思います。
とにかくシナリオを読むだけでもおもしろい作品がずらりと並んでいます。
『用心棒』,『椿三十郎』から『赤ひげ』,『天国と地獄』までそうそうたるラインナップです。
そのなかでもこの巻の最後に掲載されている『暴走機関車』というシナリオがありますがこれは私の一番好きなシナリオです。このシナリオを初めて読んだときの感動は今でも忘れられません。まるで劇場で本当に映画を観てハラハラドキドキするような感覚を覚えたのです。そんなシナリオに出会ったのはこの作品が初めてでした。
黒澤さんのエンターテイメント色の強いこの巻を読めば、あらためて黒澤さんの偉大さが分かると思います。
このレビューは参考になりましたか?
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By □□
形式:単行本
6作品、収録されている。

シーン142:岩淵の家・書斎
(電話に出ている岩淵。
 顔には、ぐっと深いシワがある。
 その青ざめた顔で
 唇をふるわし、丁寧に話す)
  「はははは……
   わざわざ睡眠薬を
   お届けいただきました上に、
   使用量の御指図まで、
   ……ははは、
   実は、私も、
   このところノイローゼ気味で、
   今夜は一つ、ご親切に甘えて、
   あの睡眠薬の少量をいただいて、
   ぐっすり、
   ……もしもし?
   ……もしもし?」
(電話は向うから切れたらしい。
 岩淵、憤懣をムキ出しにした顔で、
 投げだすように受話器をかける)
●『悪い奴ほどよく眠る』より

シーン5:百姓の家
(浪人に、水を一杯あたえると
 百姓、ガックリと腰を落し
 土間の片隅でハタを織っている女房に
 つぶやく)
百姓「博奕のせいで
   どいつもこいつも、
   楽して儲けることしか考えねえ」
(水を呑みながら聞いている浪人)
百姓「サイコロ一つで
   他人のモノが自分のモノだッ
   見さかいがつかねえッ
   ……おい、造酒屋が
   絹の仲買いを始めたのを聞いたか?
   絹問屋より、うんとイイ値で買うって
   ふれ廻ってやがる……」
女房「でも、いくら絹を集めたって、
   宿場があんな風じゃ、
   いつ絹市がたつか……」
(百姓、浪人をジロッと見て)
  「ふん……
   血の匂いをかいで
   腹のへった野良犬が集まってきやがる。
   よってたかって血を流して、
   集めた絹をその血で染めてよ、
   それから絹市をたてたらいいだァ!!」
(家に入り、ピシャリ、戸を閉める)
●『用心棒』より

シーン20:寺田の家
(堀の上に頭をだした
 椿の木が、花ざかり)
夫人「ところで、あなたのお名前は?」
浪人「名前ですか……
   私の名は……」
(と、一枚開いた雨戸から表をみる。
 まわりの一同も、その視線を追う。
 庭。
 築地の塀。
 その上の椿の植込み)
浪人「……椿……三十郎、
   もう そろそろ四十郎ですが」
(娘、吹きだす)
●『椿三十郎』より

シーン97:伊勢崎町、夜
(犯 人、
 ショウ・ウィンドウをのぞきながら
 ぶらぶら歩いている。
 それを追っている二人の刑事……三点尾行)
無線の声「ホシは、
     もう二時間近く、この通りを
     行ったり来たりしています。
     これ以上、
     同じメンバーで尾行を続けるのは、
     ホシに気づかれる危険がありますが……」
(犯 人、時計をみる。
 急に道路を横ぎり、花屋の店に入る。
 それを追っていた刑事、
 あわてて花屋の向い側の洋品店に飛びこむ)
  警部「なに?
     ホシは花屋へ入った?
     すぐ誰か花を買いにやれッ!!」
無線の声「あいにく、
     花を買いにいくような、ツラ(顔)は
     一人もいません……」
(しかたなく、刑事の一人、双眼鏡を光らせる)
●『天国と地獄』より

シーン2:外来患者・待合所
(養生所の建物。
 すっかり古び、玄関のヒサシは歪み、
 屋根瓦ははずれ、デコボコに波をうってる。
 中には、人がいっぱいいる。
 老若男女、みんな貧しい身なりをして
 ひしめいている。
 ……初めてここを訪れた者は、
 顔をしかめて立ちすくむ)
  「なんです?
   この果物の腐ったような匂いは?」
医師「貧乏の匂いですよ、
   この連中のね……
   みんな無料で診察し投薬するんです」
●『赤ひげ』より

シーン178:コントロール・タワー
(コントロール室の全員、パネルをみつめている。
 そのうしろには、非番の従業員たちが
 事件のなりゆきを見るため、
 ざわめきあって、のぞきこんでいる。
 職長が、電話に出ている)
職長「うん……うん……
   なに?
   乗ってる鉄道員は
   一人だけなのか?」
電話「しかも
   運転に関する知識は……ゼロだッ!!」
職長「……ん、その鉄道員は、
   こういう事態にのぞんで、
   頼りになる男かな?」
電話「アイツほど、
   肝ッ玉のねえ男はいねェな……
   アイツんとこじゃ、
   女房の方が肝ッ玉をもっちゃってるンでね」
職長「フン……フン……
   よし、わかった。
   残念ながら、その機関車に
   ヤツの女房は乗ってないッ!!
   ヤツに期待するのはやめる……」
(と、電話を切り、パネルを見つめる)
●『暴走機関車』より

■帯書き■
手塚治虫
「日本の劇画が
 海外に輸出されようとして
 まだ果たせない時、
 黒澤作品は
 なにが国際性かという示唆を
 与えてくれた」
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