コミカルなシーンが個人的にはことごとくツボで、随分笑わせてもらいました。間の取り方とか場面転換のタイミングが絶妙で、コメディというものをよく分かっている方が創っているなという印象を受けました。
笑いだけではありません。ちょっとした描写にも丁寧な演出がされており、各登場人物の人となりが鮮やかに立ち上がってきます。例えば木村佳乃さん演じるあかりが、自作の絵を買いたいと言ってきた男性を捜して町中を駆け回り、道ばたにいた女の子に男のことを訪ねる場面。地味ですが、彼女の持つやさしさがしっかり伝わってくるとても良いシーンだと思いました。
他の登場人物も皆愛すべき魅力的な人々で、観ているうちにじんわりと暖かい気分になってきます。結末はちょっとほろ苦い感じですが、鑑賞後の気分はさわやか。久しぶりに「出会えて良かった」と思えた映画でした。
それにしても木村佳乃さん、「河原でホームレスの老女の絵を描くのが趣味の、ちくわが大好きな超不器用女」という、文字にするのと何がなにやら分からない役を大変チャーミングに演じています。もともといろいろな役をこなす器用な方だというイメージがありましたが、この映画ですっかりファンになってしまいました。