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全東洋街道(上) (集英社文庫 153-A)
 
 

全東洋街道(上) (集英社文庫 153-A) [文庫]

藤原 新也
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

メタローグ

作者は80年2月4日から402日間、イスタンブ-ルから高野山、東京までを旅した。イスラム教徒、ヒンドゥ教徒、仏教徒の世界をカメラを手に歩き続けたドキュメントである。表面的なヒュ-マニズムや、むやみに奇抜な映像をかすめとってくるのではなく、人間と交流しながらも、冷静な視線で通過し続けられる精神の強靱さは生半可なものではない。この写真集は、60年代以来旅を続けてきた作者の写真家としての軌跡の総決算であるとともに、『東京漂流』(情報センター出版局)以後の評論集で世紀末の日本の状況を鋭く告発する彼の批評の、出発点ともなった。(川戸正嗣/東川フォトアーカイブス)
『写真集を読む』 Copyright© メタローグ. All rights reserved.

出版社/著者からの内容紹介

東洋の魂を求めて放浪400日!チベットでは山寺にこもり、チェンマイでは売春宿に泊まる…。全アジア都市の聖・食・性を写し出す、毎日芸術賞受賞のオールカラー・人間ドキュメント。

登録情報

  • 文庫: 288ページ
  • 出版社: 集英社 (1982/11/19)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4087505634
  • ISBN-13: 978-4087505634
  • 発売日: 1982/11/19
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By tres
この本は、旅行記のようで実は、人生観や、哲学の本である。
旅の予定がある人は勿論、旅とは無縁の人にも是非読んでいただきたい。
夢のように美しく儚い、著者独特の写真と文章が、人生とは何か、生きる意味とは、という決して答えの出ない問答の闇に一縷の光を差してくれる。
多感な時期にこの本に出会えた人は幸運である。

著者は、現在も時事問題に独自の意見をNET等で発表されているが、今でも全く理念がぶれておらず、むしろ先鋭化しているようにさえ感じる。
一読者として藤原新也という人にこれまで一度も失望させられることは無かったしこれからも無いことを願う。

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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ボヘミャー トップ50レビュアー VINE™ メンバー
わたしが持っているのは集英社文庫判ではなく、
大判の1冊タイプの写真集だ。

プレイボーイ誌の連載直後にまとめられ、地元の小さな書店で購入した。

杉浦康平の装幀で、完璧なアートディレクション(というか、デザインしまくり)が
圧巻。巻末には使った書体まで明記してある(写研文字盤の4書体)。印刷ディレクターや、
なんと製版者の名前までクレジットされている。それほど凝りまくった一冊。

本自体が、特別の物体(オブジェ)と化している。

ボスホラス海峡の曇った、雪片が舞う見開き写真から始まり、
高野山の雪の地蔵の見開きで終わる。

かれは、香港の見開き写真で、こう書いている。

「私は写真を撮るというひとつの目的のために街を歩いたことがない。
 それは私の旅が写真を撮るのを目的とした旅ではないのと同じことだ。
 旅は不思議だ 
 歩いている男ほど不思議なものはない」

いちばん印象的だった文章のひとつは、
かれがカルカッタの雨によせて、自分の写真術について書いていること。

「雨期の写真術は 自分が雨に濡れること」

雨が降ったら、ぬれる。かっこいい。
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今年66歳の藤原新也は1944年3月4日福岡県門司市生まれの写真家。

1972年の衝撃的なデビュー作『印度放浪』からすでに38年、写真と文章を駆使した独自の表現方法で、それをたとえば≪藤原描写≫とか≪藤原イズム≫とでも呼べばいいのか、ともかく、一切ぶれることなくその路線を貫き通して、その後も1977年には『逍遥遊記』(木村伊兵衛写真賞受賞)、1981年には本作品で毎日芸術賞を得ていますが、面白いことに1983年の『東京漂流』に、あの大宅壮一ノンフィクション賞ならびに日本ノンフィクション賞の受賞をよしとせず、なんと辞退したというのです。

何故か?

ところで、いったいぜんたい、はたして彼は写真家なのか、それとも作家なのか。

あるいは、それにしても、彼の写真は、文章の補完物なのか、それとも彼の文章が写真の補完物なのか。

いや、そういう既存の物差しで測れないような、写真と文章のタッグ・マッチというかコラボを組むことによって、まったく新しいジャンルを自らが創出したといっていいと思います。

おそらく、写真家たらんとして極限まで写実性や象徴性を追求した結果、どうしようもないその曖昧性に突き当って、そして、もっともっと写真そのものの持つ深い意味性を引き出すために、どうしても文章のちからが必要だったと思われます。

これこそ藤原新也の写真至上主義とでも言うような、写真に対する彼の偏愛のなせるわざで、だからこそそのパワーが十二分に発揮できない写真に我慢がならず、思わず手が出た=文章を付随したというもので、ゆえに、だからこそ彼が、文章に与えられる2つの権威ある賞を断ったということは、まったく胸のすくような決意と立場性をわきまえた行動で、とても感服します。

いつも際物師めく一歩手前できびすを返して、しかし死体の血の一滴ももらすまいぞと貪欲に冷静沈着に被写体を撮るとき、たぶん彼はシャターを押す瞬間の少し前には、すでに対象を詳細にメスで切り刻んで解剖分析しているのに違いありません。

記述日:2010年3月4日
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