本書では、1067mm未満の軌間で、動力車を所有し、旅客営業をしている(していた)鉄道を軽便鉄道と定義付け、戦前に廃止されたものも含め、これについては『すべて網羅している』と豪語し、その数は130鉄道以上に上る。加えてこちらは代表的な物に限られるが馬車鉄道や人車軌道、果ては鉱山鉄道、工事軌道、砂利採取軌道なども数例ずつ紹介し、全体では150以上の鉄道を紹介する。ただ200ページ強のJTBキャンブックスにこれだけ取り込んでいるので、小鉄道や古くに廃止された物は半ページの紹介に留まる物もある。紹介記事に3ページ以上を使っているのは、花巻電鉄、沼尻鉄道、栃尾電鉄、頚城鉄道、草軽電鉄など12鉄道となる。これらについては、地図、写真なども豊富で概要を把握するのに十分であるが、1ページ以下の紹介に留まる大半の小鉄道は、どこにあるのかわからないようなものもある。せめて巻末に折込図面でも入れてもらえればと思い、星一つ減。
以上から本書を読む(調べる)上では詳細な地図を手元に用意する必要がある。この地図が無い点は本書も認めており、同じキャンブックスシリーズの『
鉄道廃線跡を歩く第3巻』の地図を参照するよう推奨している。
本書の良い点としては、軽便に関するコラムがある。軽便鉄道の軌間、連結器、動力、コッペル蒸機、単端式気動車など、軽便鉄道に関する基本的かつ重要な知識が満載。本文として紹介されていない鉄道も巻末に膨大なリストも掲載されている。軽便鉄道に興味のある人はハンディな事典としてぜひ所有していただきたい。