2007年に約半世紀ぶりに実施された全国学力テスト。
大阪府の学力向上に研究者の立場からサポートしてきた筆者による
その功罪がコンパクトにまとめられて、論じられています。
戦後直後の学力低下論を受けて実施された昔の学力テストとの異同、
2007、2008年の学力テストの内容とその結果、
全国学力テストに似た試験を実施しているイングランドと
同国でありながら異なる施策をとるスコットランドの比較、
全国学力テストの必要性を改めて考える、という構成です。
きわめてコンパクトにまとまり、わかりやすい本でした。
著者の、大阪府の教育委員会のサポートをしてきた立場から
学力テストの結果公表については、特に詳しく述べられています。
一般保護者あるいは子どもとしては、個別の学校の成績結果は
そこに通う子どもたちの学力の優劣という以上に、
学習態度を含む学習環境が整っているかと目安になる気がして気になるのですが
長期的全体的な計画を立てる行政サイドとしては、
教師の士気に関わるなど、別の観点から考えているのがわかります。
また全国学力テストの実施を毎年ではなく減らし、
テストにかかる費用70億円(!)を、授業のサポートなどに使用すべきという
提言なども論じられています。
著者の立場が明らかにされた上で、さまざまな視点も述べられ
コンパクトにまとめられた本で、基本の書としてよかったです。