『レヴィナス入門』の著書もある熊野純彦氏による新訳。直訳的で素直な訳で読みやすい。というよりも、難解で読みにくいところでも正面から格闘できる。レヴィナスは読めんなぁ、とずっと思っていたけど、何とか読み通すことができた。序文と出出しの難解さに挫折する人が多いそうだけど、そういう人は、少し飛ばして第一部B以降の好きなところから読み始めると良いと思う。なんとか食らいつけるところを一つでも見つけたら、後はなんとか読み通せるはず。
文庫ということで、いつでもどこでも持っていける気軽さがとてもよい。訳注も充実で、いろいろ派生的な情報もたのしめる。何より、安い。ちくま学芸文庫の『実存から実存者へ』、講談社学術文庫の『存在の彼方へ』と合わせて、主著がすべて文庫で読めることとなり、レヴィナスがグッと身近になったことは大変喜ばしい。