以下の2つの主張を同時に行うとする.
富士山が噴火すれば,日本は沈没する.
富士山が噴火すれば,日本は沈没しない.
論理学では,これらの主張を同時に行っても,矛盾ではない.
直感的におかしいと感じてしまうのは,普段我々が使っている
「ならば」は前提条件が「正しい」という暗黙の了解で用いられ
ているため,富士山が噴火した場合に日本が沈没する/しない,
ということを同時に主張することはできないからである.
富士山が噴火してしまうと矛盾が生じるため,これらの主張からは
「富士山が噴火することはない」ということが導くことができる.
論理学における「AならばB」は,あくまで条件文であり,
Aが成り立たなくても主張を行うことができる.
このように,本書が扱う命題論理では,我々が意識せずに使っている
「暗黙の了解」とは少し異なる「決まりごと」がある.
本書は他の論理学の入門書と違い,記号を用いずにその「決まりごと」
について噛み砕いて解説を行っている.
この「決まりごと」が抽象世界の枠組みとなる公理と呼ばれ,
公理から導き出される定理と呼ばれている.
・なぜそのような「決まりごと」をつくるのか?
・そのような「決まりごと」を設定すると,どういうことが言えるようになるのか?
という点が重要であり,その点に関しては著者が妥協せずに力強く論じている.
問題もいくつか用意されており,解説された内容を理解できているか
確認することができる.
分かりやすいからといって簡単に理解が出来るというわけではない.
私は,脳みそをフル回転させても理解ができず,なかなか読み進める
ことが出来なかった.
読み終える頃には自覚できるくらいの力がつくと思う.