本書の目新しい点は、民間投資資金がビジネスとしてマイクロファイナンスに投資する動きを紹介している点だ。マイクロファイナンス実施団体の中には、金融機関として成長して、活動の規模拡大のために市場から資金調達をしているものもあり、ここへ一般の投資資金を呼び込もうという著者のスタンスは評価できる。
だが、帯に書かれているマイクロファイナンス=無担保小額「融資」という日本語訳自体が著者と訳者のマイクロファイナンスへの理解不足を象徴しており、間違ったマイクロファイナンスのイメージが拡大されることを憂慮する。「小規模な事業のための貸付」というとらえ方は、1990年代の供給側の視点から全く抜け出していない。最近のこの業界の潮流は、途上国の貧困層のニーズに着目し、融資ばかりでなく貯蓄などのサービスも含めた「金融」サービスを提供していこうというものだ。援助機関の役割は、マイクロファイナンス実施機関が金融仲介機関(=預金を動員してそれを原資に貸付を行う)として成長するのを支援することであり、これはすなわち、技術・経営面でのキャパシティ・ビルディング支援である。
本書では、民間資金とドナーが競合しないように、ドナーは設立まもないマイクロファイナンス実施団体への資金供給していくべきとしているくだりがある。だが、1990年代の大量援助資金投入の結果、貸付原資の供与は実施団体の成長を妨げるので行うべきではないという教訓が得られ、ドナーのガイドラインにも明記されている。
久々のマイクロファイナンスに関する日本語の書籍だっただけに、その内容の浅薄さに落胆させられた。