いままで“タグチメソッドは有用だから学ぼうとは思うが、どうも取り付きにくいし分かりにくい”と思われていた技術者各位に、初めて取り組むに当たっての最適の書としてお勧めしたい。概念や基本的な使い方なら約4割(第4章)、標準から少し外れた局面での使いかたまでの話なら約5割(第6章)のところまで。残りは各自必要に応じて読み進めればよい。
有難いのは、この手法を学び現場で活用してゆこうと思っている技術者の立場になって書かれていることである。説明・解説される題材、範囲、順序等々について実に行き届いた気配りがなされており、とても理解しやすい。但し、紙数の都合なのか、原文献参照の必要な個所が少なからず見受けられる。
評者は遠い昔に田口先生の実験計画法講座(内容は例の大著上下巻全部)を拝聴し、その後も別の場でお会いする機会があり、その説明癖はよく承知している。先生は実に着想豊か。逆にその場での注目点を端的に強調され過ぎ、混乱させられたり。また、続けていろんなことを一挙に提示・説明されてしまい、理解しずらいことも。その点、この本ではそのようなことはなく、安心して読み進められる。
本書を読んだあと、SQC手法におけるタグチメソッドの位置付けや理論的根拠などについて学ぶには、宮川雅巳著「品質を獲得する技術」(日本規格協会(2000/07) )が参考になる。