表題に偽りはありません。良くも悪くも「入門書」です。大家が晩年になって、自分の仕事を見通しよくまとめた、という内容。
ただし、この手の本にありがちですが、これまでウォーラステインを読んできた人間には明快な構図が与えられて「分かりやすい」内容でも、初学者には肉付けがなさすぎてイメージがわかず、逆に「分かりにくい」かもしれません。公式だけいくら覚えても数学の問題が解けるようにならないのと似てますね。試行錯誤した後なら、公式は役に立つんですけどね…学問に王道なし、ってところでしょうか。
著者は「はじめに」で、「われわれの現在の現実」を論じている第5章から読み始めたいという読者に、最初から読みなさいと釘をさしています(p15)。先入見を「脱思考」する必要があるのだそうです。しかし私の感じでは、「世界システム」という分析手法は現在では、著者が心配するほど受け容れにくいものではなくなっています。むしろ常識化したとさえ言えるでしょう。
で、私の提案ですが、現在の諸問題に関心のある方は、第4章から読んではいかがでしょうか。それで十分だと思います。