はじめに断っておきますが、この本は1回さらっと読めば、全てを理解できるようなものではありません。
問題上場企業に集ってくる地下経済の住人の生態を著している訳ですが、腐肉に集まる得体の知れない
ジャングルの生物達のように、地下経済の住人の生態も、また得体の知れないものだからです。
(登場人物が多い上に、個人の利益のみでつながりあっている世界のため、関係が掴みにくい)
また、丁寧に取材をしていますが、やはり埋めきれない空白も存在します。
恐らく、この本を手に取った人が1回目の読了で理解できるのは、上場企業に地下世界の住人が入り込んだ場合、
証券取引監視委員会も取引所も警察も駆除にとりかかるのはかなり困難だ、という事実でしょう。
証券関係者(個人投資家も含む)が、ある企業の中で怪しげなことが行われていると気づいたとしても、
害虫駆除は行われないか、行われたとしても、それは数年後になるのです。(その間に金を持って逃げられるかもしれない)
ここの書評にプリヴェの事を書いている方がいますが、いまだにプリヴェは上場しています。
裏口上場、不釣合いな増資、不可解な新規投資、乱高下する株価・・・・・
上場企業が金を持ち出すための道具と化していても、上場は維持されるのです。
「粉飾の理論」に続く、問題上場企業の裏側を報じる本ですが、まだまだ、このシリーズは続くことでしょう。
何しろ、出金装置と化した上場企業が、そこらじゅうに放置されているのですから。
高橋氏には、今後も名誉毀損で訴えられながらも頑張ってもらいたい。
(名誉毀損で訴えられるのは名誉な事です)
*「1つお願いしたい事」
次作には、登場人物の関係図、株価チャートを、ぜひ入れてもらいたい。