1999年に『柔らかな頬』で直木賞を受賞して以来、2年ぶりに発表された長編である本書は、映画作りの現場が舞台である。プロデューサーとしての名声を得るため映画の成功にすべてを賭ける玉置優子のもとへ、スタッフが集まった。昔の恋人を見返したい名カメラマン。自分は天才だと信じる新人監督。人気絶頂の二枚目俳優。かつてのアイドル。「いい映画を作る」の言葉の裏に、それぞれの思惑が錯綜し、衝突する。犯罪や事件性は皆無であるが、スポットライトを浴びたいと熱望する人間たちのしたたかな姿が淡々とつづられる本書は、光と影で描かれたサイレント映画のような深い味わいが感じられる作品である。(冷水修子) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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藪内の持っていた叔父の古い写真をもとに映画を作ることに。その藪内は監督。優子のプロデュース。有村のカメラマン。主演俳優は今売れている高見。共演はヌード写真集で売れている元アイドル佐和。撮影は順調に進むかと思われたが。
淡々に撮影の情景を順を追って書いている。高見は自分の思い通りにいかず降板を持ちかけたり、藪内に殴られたり。有村は佐和に特殊な感情を抱いてしまったり。優子は怒ったり。多視点から見る撮影の様子は一人一人の思いとは全く違うもの。それが当たり前のようにストーリーは進む。ストーリーというが、殆どシナリオはない。心理描写や人物造形もよく感情移入はしやすいが、ストーリーに深みはなく、やや物足りなかった。
かつて誰も読んだことのない小説。そういう風に言われているらしいが、確かにこういう小説は読んだことがない。展開は読めなく、小説は終わってもストーリーが終わった訳じゃない中途半端な小説。結局どうなっていったかは読者に任されるのだろうか。リアリティが面白く早く読めたが、本作は良作とは言いにくい。
勿論意見は別れるだろうが、好きになれない桐野小説であった。
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