本書は、光市母子殺人事件弁護団の弁護方針を綴った書です。
裁判書が一蹴した、「本事件の被告が被害者の女性を殺害後に姦
淫したのは、死者を復活させる儀式という弁護を始め、彼ら弁護団
の破天荒な主張が語れます。高裁の判決文で弁護団の主張が、
退けられた点を、本書タイトルは「何を立証したのか」では無く、
「何を争点としたか」が妥当と言えます。
強く疑問を感じたのは、巻末に掲載された、事件被告から被害者
遺族に宛てられた手紙です。遺族の本村さんはその手紙を一切開
封していないことを手記で語られています。弁護団は、この手紙で、
被告が謝罪をしていることを世論に訴え、死刑を望んでいる世論を
転換させたいという意図が感じられます。被告の弁護団とはいえ、
遺族の意思さえ確認せず公開するということが許されるのか、甚だ
疑問です。
全体を通して、被害者遺族の人権に対する配慮が感じられないこと
に加え、被告の責任能力を矮小化しようとする意図、更にその背後
に、被告の元少年を手段に死刑廃止運動を訴えたいという意図が
強く感じられました。