この本は、結論を決めうちせず事件をできる限り客観的に捉えようという姿勢が感じられる。冒頭の座談会では、法律の専門家のうち、元裁判官、学者、そして被告弁護団の各者がそれぞれの立場で述べており事件の問題点を整理できる。裁判員制度スタート前夜にあたり、検察・裁判所がどのようなことを考え、そのことが本事件に与えた影響、それに対する弁護団の対応の軌跡、それに対するマスコミとの攻防の内容について理解できる。次に4人のジャーナリストの意見が続き、最後に事件についてのQ&Aの解説で締めくくっている。特にジャーナリズムの公平性の観点から、綿井健陽氏のご意見を参考におすすめしたい。その上で読者各々がこの事件についての評価の見直しをして頂ければよいと思う。全体的に本事件の概要、論点、全体像についてコンパクトに把握できる本だと思う。