とても面白かったです。
物語には様々な人物が登場します
認知症の母と暮らす中年男
ある罪を犯した幼い兄妹
悲しい秘密を抱えた少女と少女に恋をする少年
あるきっかけで、耳が聞こえなくなった少女と、少女の祖父
病にかかった姉を見舞う、母を恨む青年
自信をなくした女教師と、憂鬱を抱える生徒
道尾さんは人間の微細で繊細な、だけれども重大な心の動きを書くのが抜群にうまいのですが 今作は特にそれが顕著に描かれています。
誰の心にも忍んでいて、時にふっと顔を出す悪意や狂気
誰もが持つ光と陰、そして優しい心
それらが巧みな筆致で表現されています。
物語はバトンタッチのように次々と繋がっていきます。
そしてどのはなしも
読み終わった後、鳥肌がたってしまうほど濃密でした。
どんな人でも複雑な思いを持っていて、それでも生きている。
76頁でホームレスが発した言葉。 よく聞く言葉ですが 道尾さんの優しく切な願いのように感じました。