本書は、彫刻家・詩人高村光太郎の弟であり、鋳金作家の高村豊周による高村光太郎論です。
高村光太郎自身が書いた本も読んだことがありますが、やはりそこには往々にして
「意地」や恰好をつけている個所も当然あるわけです。しかし弟の視点から、様々な光太郎の側面
を描いています。
家族の一員であり、留学や結婚で先に家を出た光太郎ですが、その間豊周は両親と
一緒に暮らしています。やはり光太郎にとって大きな存在は、屈指の彫刻家であった
父・高村光雲です。光雲は江戸の職人だったわけで、光太郎は芸術家ではない、職人で
父は何も知らない、と反抗していましたが、結局いつも経済的には頼る存在。
そして、どんなに生意気な態度を外でとっても光雲はあたたかく見守っており、
そして芸術上においてもとても
大きな存在でした。そうした父と兄との関係がとりわけ興味深かったです。
また光太郎の作品制作でも、近くにいた人しか知り得ない細かな
エピソードもとても興味深かったです。