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光る源氏の物語〈下〉 (中公文庫)
 
 

光る源氏の物語〈下〉 (中公文庫) [文庫]

大野 晋 , 丸谷 才一
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

『源氏物語』は何ゆえに世界に誇る傑作たり得ているのか、詳細な文体分析により、作者紫式部の比類ないストーリーテラー的才能と深い人間洞察力を逐一論証し、小説としての醍醐味を徹底的に語り尽くす。『源氏』解釈のための全く新しい、そして最高の指南書。

登録情報

  • 文庫: 528ページ
  • 出版社: 中央公論社 (1994/09)
  • ISBN-10: 4122021332
  • ISBN-13: 978-4122021334
  • 発売日: 1994/09
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.8 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
本書は源氏を原文で読む上で必携本であるが、次の個所にはとりわけ感服した。

丸谷 高段者の将棋は、一手指すごとに、指した方が有利に見えると言うでしょう。同じように、光源氏の立場に立って書かれると光源氏に同情し、紫の上の立場に立って書かれると紫の上に同情する、という調子で読んでしまいますね。まるで高段者の将棋の感じ。

大野 そう。こういう描写はこれまでのa系、b系にはなかった。女の側に立つとこうなり、男の側でこうなるというふうに、こっちもそれにつられて右に揺れ、左に揺れながら読むという内容ではなかった。(中略)その様子を、作者はきわめてこまかに書いているので、読んでいて引き入られてしまう。

丸谷 それが社会的位置を抜きにした単なる男と女の関係じゃなくて、社会的なシチュエーションがきちんとある。そのなかでの恋愛であるというところが面白いんですね。王朝の社会というものを紫式部はたいへんよく見ていたという感じがします。(下巻 24ページ)

男と女、異なる気持ちが書けるとは、<かむかふ>の結果ではないか。(注:<かむかふ>とは<考える>の語源であり、その意は身を交わすことにある。考えるとは相手の身を我が身とするのが原義だとする小林秀雄の説によっている。)

二元論は揺れ。上首尾なら、<かむかふ>道行きとなろうが、問題はその揺れが「社会的位置を抜きにした単なる揺れじゃなくて、社会的なシチュエーションがきちんとある。そのなかでの揺れ」であればこそ、1000年を隔てても響き合えたのではないか。

揺れ、とは「自己」の揺れでもあるが、「確固たる自己」に拘泥していては、この揺れは感得できまい。むしろ、あなたとわたし、を包み込む揺れの幅を<今><ここ>において広げることが、言葉・行為(事)・精神(心)を包含したそれぞれのわたしの豊かさとなる。「わたし」に固まることでも「わたしたち」を切望することでもない。

と思った次第。

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By harryss
形式:文庫
上巻からの続きレヴュー。

僕は、この本から始まる「若菜」から、紫式部の文章がずっと読みやすくなりました。きちんと理解できないのですけど、丸谷氏の訳文にその都度当たらなくても、そこで何が起こっているのは何となく伝わるし、そこで生じている感情の波をひしひしと感じられるのです。
以前、丸谷氏が「源氏は「若菜」から原文で読もう」と言っていた意味がよおく分かりました。これはすごい。
そしてここら辺になると丸谷氏の小説批評も冴えてくる。猫の使い方、時間の使い方、展開の巧みさについて、上手く言えないけどすばらしい…で終わりそうなところを、きちんきちんとピンに止めていくように勘所を捕まえて説明してくれる。けっこう高度な内容で…つまりそれだけ源氏物語が高度ということですが…説明しにくいので、ここは是非本文に当たってください。

こうして僕は初めて源氏物語全編をつまみ食いながら読むことが出来ました。日本人としてそれだけでもこの本に出会えて良かったと思いました。
源氏物語というものがどれだけ現代の我々に近しい面があるか、高度な構造をもち、同じ人間が息づいていて、様々なことを考えさせる力を持った物語かを知ることが出来ました。
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