おそらくこの映画を見た人は、次の点で疑問を持つのではないか。
一つは、総括に暴力が使われたことまでは理解できても、なぜ殺すところまでやったのか。
もう一つは、自分も殺されることを予感しながら、なぜ逃げ出そうとしなかったのか。
おそらく演じていた俳優達も、「なぜこんなことを、彼らはド真剣にやっていたのだろう?」と、モヤモヤしたまま演じていたに違いない。だから何かと台詞が上滑りして、学芸会的になっていたのも無理もないと思うのである。しかし劇中劇という手法をとることで、演者の迷いと、見ている人の戸惑いがシンクロして、かえって効果を上げていたように思う。つまり自分も演者の一人となって、この事件の真相に踏み込みたくなってしまうのである。実際、私はこの映画を見た後、どうしてもこの事件をウヤムヤにしておれない気分になり、赤軍兵士たちの手記を何冊かむさぼるように読んだ。それでようやく謎が解けてきた。連合赤軍事件は、その常軌を逸したという点で、また警察・市民サイドと連合赤軍サイドとでは、同じ事件がまるで違った見え方をするという点で、稀有な事件と思う。さらに連合赤軍側でも指導部と一般兵士とではまた違った見え方がする。それはあたかも『藪の中』のようでもある。映画は制作者の誠実さも感じられ、連合赤軍事件の入門編としては最適ではないでしょうか。