人魚の話。
時代は現代、場所は日本のどこかの海や川に面した町。
そこでは人魚が、伝説ではなくごくありふれた風景として、人の営みの傍らに生息しています。人々は日常の日々の中で人魚たちと出会い、触れ合います。人にごく近く、しかし決して人ではない生き物である人魚。その存在に戸惑いながらも、自然に惹かれる心の動き。それを描くすっきりとした筆が、とても細やかで、なんといっても読後感の切ない気持ちよさがたまらない。
表紙を見て単行本を衝動買いしたのですが、予想外の「当たり」でした。今何度も読み直しているのですが、全然飽きません。200ページにも満たない新書版サイズ1冊にまとめられた作品で、こんな体験は、久しぶりです。私はこの本を買うまで、小玉ユキという人を知りませんでした。本に収録されている話はFLOWERSという女性向けのマンガ誌で連載されたものですが、この作品、そして作者「小玉ユキ」は、ジャンルを超えてもっともっと評価されていい、と思います。