「すばらしい新世界」の登場人物が巡る人生の旅を軸に、社会の活動と科学の共存に
ついて模索した著者のアイデアが展開されています。
前作で中心になっていた風力発電を一方的に良しとするわけでもなく、科学技術を
悪とするわけでもない。
本書で読むべきは主人公達が出た人生の旅において、静かに、そして真剣に自分と
向き合う姿勢に現代社会の消費姿勢に対して救いを求めた、精緻とは言えないまでも、
ある程度まで高めれた池澤夏樹の世界観ではないかと私は思います。
ただし、そうは言っても小説ですので、当然に過ぎる結末が随分と早い段階で
推測できてしまい、安心して読んでいられますが、一方で予定調和なストーリー
展開に物足りなさを感じてしまうの面もあり、やや残念ではあります。