本書は大変優れている。第一には、景気循環各理論の生まれや背景からの説明があることで各理論が体系だって理解でき、決して理論なき計測の手法の羅列となっていないこと。第二には、豊富な原典の紹介があることで、決して長くは無い経済学の歴史だがその変遷がよく整理できること。第三には、結果的に実際の分析への適用の方法が習得しやすく、投資家や経営者のみならずビジネスマンならば誰でも経済の先行きに一定の見通す力を得ることが出来るように工夫されていること。最後に大切なことだが、大変平易で読みやすい。
上記の良い点をより吸収しやすくするためには、終盤の覇権サイクル、経済学説の循環から読むことをお薦めする。これによって、著者が大局として現在をどう捉えているのか、また経済学界の巨人たちの立ち位置がある程度整理され、中盤までの著者の指摘がより汲み取りやすくなると思う。著者の狙いが理解できると、無駄な文章が大変少ないことも理解できると思う。もう無条件にお薦めしたい良書だ。