「先生と生徒の恋愛」というタイトルを見て、ちょっとエッチな恋愛物かなと想
像するむきも多かろうが、本書は、学校現場ではタブーとされてきた「先生と生徒の
恋愛」に踏み込んだ労作である。著者は、恋愛の当事者を全国から探しあて取材を
しているが、そこでの真摯なやり取りがバランスよく配置されていることが、何とい
ってもすばらしい。それも、これまで扱われることもなく、タブーとされた先生と生
徒の恋愛、そして、恋愛と切り離せない性愛にまで掘り下げている点もすばらしい。
このような労作は、けっして野次馬的なアプローチからは生まれるものではなく、著
者が深く、当事者の内面の声に耳を傾けたことによるものに違いなかろう。ときに男
と女の問題にも言及しながら、この問題のもつ際限のない深さと幅(道徳論やわいせ
つ論ではけっして語りきれない部分)を提示している。教員の誰もが、生徒の誰もが
遭遇するであろうこの問題の在り処を偏向することなく提示した本書を手に、それぞ
れに議論を深めてみたい。