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先哲が説く指導者の条件 『水雲問答』『熊沢蕃山語録』に学ぶ (PHP文庫)
 
 

先哲が説く指導者の条件 『水雲問答』『熊沢蕃山語録』に学ぶ (PHP文庫) [文庫]

安岡 正篤
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

人の上に立つ者が心得ておくべきこととは何か? 今の言葉で言えば、「リーダーシップとは何か?」と言うことになるのだろう。しかし「リーダーの条件」は、経済環境や組織の大小などで異なるため、どこにも共通するような決定打はなかなか見出せないでいるようだ。その証拠に、ビジネス誌では、戦国武将・明治の元勲・中国古典の英雄などに、その回答を求める企画をよく立てる。
本書では、肥前平戸藩藩主・松浦静山が纏めた文献集『甲子夜話』に収められている、上州安中の藩主・板倉勝尚と幕府大学頭・林述斎とのあいだで書簡によって、学問や政治に関して問答をした『水雲問答』と、備前藩の改革に実績をあげた熊沢蕃山の語録集『集義和書』を解説しながら、指導者の心得を説いた、実践的なリーダー論である。
時代は変ろうとも、人間の本質が変らなければ、その人間の集合体である組織を有機的に動かす要諦も変らぬはず。鋭い洞察による安岡版リーダー論。

内容(「BOOK」データベースより)

『水雲問答』は平戸藩主松浦清山が纏めた『甲子夜話』に収められている、安中藩主板倉勝尚と幕府大学頭林述斎との学問・政治に関する問答集。また、熊沢蕃山は備前藩主池田光政に登用され、藩政改革に実績をあげた人物で、『集義和書』はその語録。両文献とも永く「絶学」となっていたが、著者はそこに指導者の心得・見識を見出した。長い時を超えて、現代社会にも通じる実践的リーダー論とは。

登録情報

  • 文庫: 237ページ
  • 出版社: PHP研究所 (2005/10/3)
  • ISBN-10: 4569664601
  • ISBN-13: 978-4569664606
  • 発売日: 2005/10/3
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
的確な状況判断が求められるトップは、周囲からの批判に耐えることが

できる精神的な強靱さが、いつの時代にも求められる。

そのトップを支える宰相の存在の重要性は言うまでもない。

上州安中の藩主・板倉勝尚が組織の責任者として、あるべき姿の理想像

を描きながら、なかなか思い通りとならない現実に直面する。思い悩む

板倉に対して、幕府大学頭・林述斎がいくつものアドバイスを書き留め

た書状を送って、理想と現実のしがらみを独特な視点から、心温かく見

守る。

時代を超越した”組織論”と”普遍性”が、ほんのりと伝わる心地よい

一冊である。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 草雲雀 トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
本書を読んで今の政治、世の中を省みるとあまりの落差に嘆きたくなる。

挙げればきりがないが一部抜粋する。

『さて、白雲山人と墨水漁翁の両者の問答を読んで深く感ずることは、古人がいかに心術・識見を磨いたかということであります。「識」には三つある。一つは「知識」で、これは一番つまらん。人間には単なる知識ではなく、「見識」、価値判断が大事である。ところが見識があっても、どうかすると、その人が臆病である、あるいは狡猾である、軽薄であるというと、その見識も何の役にも立たん。いかなる抵抗があっても、いかなる困難に臨んでも、確信するところ、徹見するところを敢然として断行し得るような実行力・度胸を伴った知識・見識を「胆識」という。人間は、胆識があって初めて本当の知識人である』

『自らの徳と日頃の行いが、いつとはなしに人々を感化していくという生き方であれば、自ずからにして人々は心服するものであります。』

『公私の別さえわきまえることができないようでは、とても天下国家に関する議論など行われるものではありません。』

『権力をもって大臣の重責を断行するには必ず怨というものが免れない。誰かから怨まれる。それをびくびくしておったんでは何もできん。』

『いまの党の首脳部やそれに言わされて、総理までが「金のかからん選挙」ということを看板にする。これは私は非常に浅薄だと思う。日本の議会政治の名誉のためにも、あんなことは言うべきでない。もっと立派な国民の代表者を出すための選挙と言わなければならん。賢人を、真のエリートを、国民の満足するような人が得られるような選挙体制を作る、と言わなければいけない。』

『とにかく道徳がないと、人間は間違いなく滅びるのであります。』

『日本くらい平和、平和と言うて大事な問題を抹殺する風俗はほかにない。平和は誰でも口にするが、それをどう達成するか。こういう実際問題になると、これくらい難しい問題はない。こういう穢国濁世、あるいは穢国悪世というような時代に、平和は空念仏になりやすい。』

今の世に氾濫する、この物質主義、金儲け主義から一度離れ、こういった、人ととして如何に生きるべきか、という書物を読むのもときには必要かと思う。是非一読をお勧めする。
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形式:文庫
第一部は、松浦静山が著した『甲子夜話』に収められた、林述斎(墨水漁翁)と綽山侯板倉勝尚(白雲山人)との師弟問答である「水雲問答」を解説する。著者安岡正篤の「古人の言、我を欺かず」という言葉に、古典に親しむ意義が端的に表わされる。先哲の教えや誡めは最も厳しい時間の篩いに掛けられたから、万人の期待を裏切らない、学ぶ価値が大いにあるということだろう。

植木名人でも古樹に花を咲かすことはできない。「枯れ行くときは抑えずして、種を来春に残すを識者の業とす。治国の術もまた然り。」 衰勢にあって時流に逆らわず再生手段を講じるのが知者のやり方だ。政治指導者の使命も同様に、次代を担う人材を養成し精神文化を後世に残すことだとは、まさに至言。

第二部では、熊沢蕃山の語録を編んだ『集義和書』から、三綱(君臣、父子、夫婦)、五常(仁、義、礼、智、信)の「道」について語られる。陰陽五行説に基づく聖人の道には少々道徳臭を感じるが、「無とは全有である」とする理解は哲学的で面白い。宇宙の始まりを虚無と観るか否かは各人次第だ。

「道は三綱五常これなり。(中略)人倫天地無に帰すといえども、亡ぶることなし。況んや後世をや。」 本質的な存在である「道」は栄枯盛衰とは無縁、不滅のもの。片や人間が作った社会制度や法律などの「法」は時代環境により変化する。「道」と「法」を匙加減できない為政者の存在が問題だと蕃山は指摘する。

「知識」に教養が加わって培われる判断力が「見識」、これに実行力と勇気が備わると「胆識」が身につくらしい。修養や鍛錬、克己とかいう言葉は、嗚呼、この遠く困難な道のりに刻まれる一つの道標に過ぎなかったとは!
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