野阿梓さんの最高傑作(の一つ)です.天界の熾天使セラフィが天帝の命を受け地上に降り立ち、時空を超えて悪しき竜を追跡する、というのが大枠のストーリーで、実質的にはシェイクスピアの戯曲「ハムレット」の物語世界(13世紀.ここではハムレットの友人ホレイシォが主人公)を主軸に、1968年のニューヨーク、1931年のゴビ沙漠、紀元前48年のアレクサンドリア、1599年のロンドン、またホレイシォの回想としてシリア・パレスティナでの十字軍および暗殺教団での話が挿入され、それらすべてが物語最後の場面に収束・結実します.主題は著者がこれまでの作品でも一貫して追求してきた、神と国家と人間的存在のあり方です.新装版も最近出版されましたが、こちらには萩尾望都さんの美麗な挿画が入っているのでレビューをこっちにつけました.(下巻レビューにて続きを書きます)