濃霧の夜、事務弁護士のサイモンは、事務所を共同
経営している兄のオリバーから電話で呼び出される。
しかし、事務所に行ったサイモンを待っていたのは、兄の射殺死体だった。
その上、警察の捜査で、兄が強請をしていたと思しき証拠が
出て、彼に強請られていたと考えられる女性――サイモンが
かつて親しくしていた知人――が、殺人容疑で逮捕された。
兄と知人、二人の無実を証明するため、サイモンは独自の調査に乗り出すのだが……。
核となるトリックはたわいない代物で、それが解明された
段階で、誰が犯人であるかはおのずとわかると思います。
とはいえ、個性豊かなレッド・へリングたちの間で容疑を転々とさせていき、
トリックが割れた後でも動機の謎でプロットを牽引していく展開は秀逸です。
また、犯人の正体にかんしては、サプライズが仕込まれていて、
若干の不自然さはあるものの、人物描写の中で周到に伏線を
張っているため、納得させられてしまいます。
そして、事件を通じて辛酸を嘗めさせられてきたサイモンが、最後の
最後で報われる幕切れは、心地よいカタルシスをもたらしてくれます。