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このゲームは、非常に、非常によくできています。
まず、中身が濃い。
主軸となるストーリーがしっかりしているので、それを読みすすめたくなります。謎解きやトリックだけで場をもたせたり、キャラクターに頼ったりしません。
「何で犯人がわかったのにこいつを締め上げられないんだ」「行きたいところになぜ、今行けないの?」「これが聞きたいのに、選択肢にないじゃん!」といった不満はアドベンチャーゲームにつきものですが、そういうことを感じず、「よしよし、このストーリーに乗っかってみよう」という気持ちになりました。
次に、伏線の張り方がうまい。
他のレビューで「二度は楽しめない」という意見が結構ありますが、私の場合は、二度目も充分に楽しめました。
それは、物語の結末、真実に向けての伏線が至るところにひかれているからです。
犯人や結末を知ってから改めてプレイすると、登場人物が、驚くようなところで驚くような発言をしていて、思わず「あっ!」と声が出ます。
二度目のプレイで謎を解く、そんな感じです。
3番目に、扱うテーマが現代的でリアルで、重い。
「少年犯罪」「ネットゲーム」「ネット犯罪」といった、現実のニュースによく取り上げられるものをテーマにしています。
市販されるゲームでありながら、よくこういう難しいテーマに正面から挑戦したなあと感心します。
4番目に、プレイ時間がけっこう長い。
ちゃんとプレイすれば、おそらく最低10時間は楽しめると思います。
「ゲームオーバーによるやり直し」「会話がとばせないことによるタイムロス」などがないので、この10時間は、密度の濃い10時間です。
そして最後に、操作性がよく、遊び手に親切なつくりであること。
このゲームは、DSの機能を、操作性の向上に活かしています。
調べたい場所や会話の相手を、タッチペンで指定できる。画面を切り替えることなく、ゲームを進めたままで、上画面に捜査メモやセーブ画面、会話の過去ログを表示できる。これらは、実際に操作してみると、かなり便利です。
同時に、ボタンのみで操作したい人にも優しいつくりになっています。
会話スピードも自分で設定でき、さらに飛ばしたければ飛ばせるようにできているため、イライラ要素がありません。
ほんとに、とっても親切。
新規タイトルゆえの知名度のなさ、ぷくっとしたキャラクター(私は好きですが)、やけに画数の多いキャラクター名、ちょっとおたくっぽい雰囲気など、若干初め、とっつきにくいんですよね。
それがもったいないと思えるくらい、いいゲームです。
興味を持ったら、即買いです。
「仮面幻影殺人事件」は、もともとは携帯アプリ用AVGとして地味な人気を集めていた癸生川シリーズの最新作にあたる。アプリ版「仮面幻想殺人事件」より後の物語となっているが、携帯アプリを知らずとも問題なく楽しめるストーリーになっている。
驚かされるのが、DSのAVGで理想としていたタッチパネル操作が、理想以上の快適さで実装されていた事。メッセージ速度・セーブ・フォントなど、細かい部分の調整が隅々まで行き届いており、まさに至れり尽せり。
DSの離れた2画面を、ネットゲームの世界と現実の世界に分けて処理するアイデアも秀逸。仮想と現実が錯綜する物語の演出として、非常にピッタリとマッチしている。
BGMやSE、演出も高い水準で作られており、いやがおうにも臨場感が高まる。
そして、肝心のストーリー。
「少年犯罪」と「ネット」を軸に、タブーとも言える内容にまで踏み込むシナリオは、時には傷みも伴ってプレイヤーを驚かせる。あまりにも直球なので賛否両論はあると思うが、ここは好みの良し悪しなので仕方がない。
マスコミや雑誌が意図的に取り上げない問題点を毒をもって切り捨てるシナリオは、完全に大人向けの風刺レベル。中高生に分かるかどうかは疑問だが、だからこそ若い世代に向けられたメッセージなのかもしれない。
キャラクターデザインに気迫がないのが難点だが、中味が思いのほかヘビーなので、これで釣りあいが取れているのかもしれない。
骨太のAVGを味わいたい人に、ぜひ。
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