人間のこころに浮かぶイメージ(夢、空想、妄想、幻視など)、これの中に遥か太古の神話的イメージ、宗教的イメージが多く含まれるのは何故か? これに着目し、無意識の中に人間という種に共通の「イメージの源泉」=「元型」に考え至ったユングのこれは、人類至上数奇の大発見です。 ユング心理学の中核概念である「元型」に関する論文を林道義氏が体系的に編纂したもの。 ユングの論文もさることながら、訳者である林道義氏による長大な解説、注釈も、かなり秀逸(ハッキリ言って、この林道義氏の解説、訳註が無ければ理解はかなり困難を極める)。
「人類共通の深層心理の奥底に働いているイメージ」これが一般的に世間に流布している元型の定義であるが、これは間違いである。正しくは、そういった!「人類共通イメージ」と言えるイメージを持たらす心特有の動き方、働き方こそが元型なのである。「同じイメージを共有」しているのではない、「同じイメージの源泉」を共有しているのである。 この混同、誤解されがちな点を丁寧に分かり易く(と言っても難しいが)解説している。
何故にここまで林道義氏は入魂しているのだろうか? それは一にも二にも本書に収められたユングの論文が素晴らしいからである事は論を待たない。
夢の読み解き、人の持つ「イメージ」というものを、より良く理解したい人は必読。
『結合の神秘』と双璧をなすユングの考え方の集大成。