登場する「元・阪神」は12人。昔からのファンには知っていて当然の面々だが,最近の好調さで新しくファンになった人には,馴染みのない名前かもしれない(阪神の新庄でさえ)。
野球ファンやマスコミの一般的な認識として,阪神は特殊な球団だとされている。どこのチームであっても,野球をあまり知らない人がフロントの重役に就いていたり,そんなフロントとの軋轢が生じたり,選手が芽をのばせずに潰れたりしていることだろうが,そんな話が簡単に漏れ出し,何年経ってもこのような本に紹介され,語り継がれていく。強かろうが弱かろうが,関西を中心にマスコミからの注目度が高く,ファンもいいこと悪いことの両方について口うるさい。それが阪神という球団である。それだけ,「元・阪神」の過去は重いものであると感じる。
新庄の部分以外は対談やインタビューの形で構成されており,各自の阪神への思いが伝わってくる。最初の江夏×ダンプ辻の対談は,名バッテリーを組んだ男同士の意外性ある清々しい話となっているが,それ以外に明るい話はない。誰も阪神にいたことを後悔しているわけではないのだが,心のどこかに傷というか影というか,そういった暗いものを抱えている雰囲気がなんともいえない。また,そのコントラストがこの本の味となっている。
少し昔と比べると,いまはちょっと明るくマトモなチームになったように見えるが,かつてはこんな話もあったんだよ,といった感じで新しいファンも読めばいいと思う(今も裏ではあるんでしょうが...)。