本書がなければ、トヨタ生産方式の理解は関係者以外には難しいのは間違いない。本書は工場見学の際にも詳細に説明されない点を多く解説している点で類書と一線を画している(工場見学の機会があるならば、前に一読すべき最良の書である)。
例えば、藤本隆宏・門田らの著作群を読み込んでも、コストテーブルの実態やカンバン循環のルート設定の現実は分かりにくい。念のため、大学院などの教育現場で使われることの多い藤本の「生産マネジメント入門」を参考として読めば、MOT教育における現場知識の理解が本書なしには難しいと認識できるだろう。
ただ、本書の対象としている読者(製造業の概要説明を欲している人々)にとっては高品質の内容ではあっても、下のレビューで記述されているようにこれはあくまでトヨタ生産方式の基礎・導入説明でしかない。この点を念頭に置いて読めば、本書の価値を適切に理解できるだろう。