タイトルはいかにもB級ジャパニーズ・ホラーっぽいが、正真正銘のタイのホラー映画。2009年のタイ映画の興行成績では10位、洋画を含めても「レッドクリフPart2」を上回るヒットを記録している。
人気俳優のケン(シャクリット・ヤムナーム)は「運命の人」は自分で選びたいと言い、1人の女性に縛られることをヨシとしない。ミーン(ナバディー・モックハベサ)を妊娠させながら、現在は共演者のブロイ(ワニーダ・タームタナポン)と付き合っており、以前の恋人のボウ(アチャーマ・チワニットチャパン)にも冷たい。ボウは電話ボックスからケンの携帯に電話をかけ、話をしようとしているときに突っ込んできたトラックにはねられて死に、ブロイもまたホアヒンのケンの別荘からの帰りに交通事故で死んでしまう。一方、ミーンは子供を堕ろしたことをケンに告げ、彼との関係を修復しようとするが……。
最初は3人の女性の区別がはっきりせず、わかりにくいところもあったのだが、その点を除けばストーリーもひねりが利いており、最後にちゃんと辻褄が合うように作られている。また、心霊写真や南国の花などの小道具の使い方や、夢と現実が交錯する怪異現象の描き方も巧い。音楽や陰影のある映像もなかなか凝っていて、タイのホラー映画にありがちな大雑把さはあまり感じられなかった。他のホラーに比べてそれほど恐怖を感じさせる作品ではないかもしれないが、恐がりの私にとってはほどよい恐ろしさ。期待通りに怖がらせてくれるところは作り手の巧さなのだろう。
何より身勝手なケンの理屈は男として身につまされるところがあり、3人の女性に同情しながらも、これだけ美女に囲まれたらケンならずとも1人には絞りきれない。3人の中では現在の恋人のブロイが一番魅力的なのだが、冒頭に出てくるキツめのミーンが徐々に妖艶さを感じさせるようになるのもよくできた演出。この2人に比べても決して劣らないキュートな魅力のボウは、出番がほんの少ししかないのが残念。
本編89分という長さもちょうどいいし、マニアックな面白さではなく、一般の映画ファンにもオススメできる作品だと思う。