脱サラ、奥さんの実家の青果出荷組合に就職、意見の食い違いから組合そのものを買い取り、新しいビジネスを始めた著者の自伝である。
もちろん、条件に恵まれていたことは否定出来ないが、それでも何も勉強せずに儲かるようになったのではない。
本文中に触りだけあるが、師と仰ぐ人がいるようであるし、近隣農家に頭を下げてノウハウを聞きに行った話もでている。ただし、自分で農作業をするのではなく、自分は社長としてマネジメントと営業をしているということである。実際の農作業は研修生や社員がアルバイト等を使って行なう。
他の業種では当たり前の営業職が従来の農家には無い。また、戦後GHQの地主解体により、日本の農家は規模の小さいものばかりになってしまった。だから、儲かるためには営業が顧客が求めるものを見つけ出し、それを作ることが必要である。また、一定以上の収入を得たいなら、規模を大きくして、人を雇わねばならない。それで初めて農が農業となり、仕事として成り立つのだ、との強い意思に感銘を受けた。
農業に従事する若者を育てるためにも、農業は儲からなければならない。農家にある、儲かるのは罪といった意識や、ノウハウを同業者に教えないといった意識の改革も必要だろう。厳しい言葉が並ぶ本だが、だからこその成功であると思う。