あり得ないことが連なっていって、最後に最もあり得ないことにいたる、ナンセンスな物語絵本。なぜ?と反問させない、断固たる出まかせが教えてくれる、ウソを通してしか伝えられないスピリット。存在することのはかなさや、人生の退屈をいかに深く味わいたのしむかを、ゴーリーが過激にそそのかす。プロローグから第22章の終わりまで、あるのは9つの章だけというのも、いかにもうがっている。欠章は読者が勝手に想像せよと。巻末の解説はよくよく後日まで封印して、「優雅な叱責」のナゾを1人で考え続けることをおすすめする、と言えば、解説をつけてくれている訳者の叱責を買うだろうか。
空白の多い白黒のペン画。ところどころ、黒々と塗りつぶされた木や、闇に雷の落ちる場面が効果的。姉と弟なのか、兄と妹なのか、2人の乗る、いまにもひしゃげそうな自転車が、画面をゆがめて立体感を出し、時々入る吹き出しも、全体に躍動感をプラスする。宝の小箱のような、大人のための絵本である。(中村えつこ)
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