有名な古代ローマ時代の遺跡・ポンペイ。
それについて書かれた書籍はあまたあるだろうが、壁に書かれた「グラフィティ」(落書き)から当時のポンペイの様子を読み解こうというのが本書だ。
というと、なんだかマニアックな書籍に思われそうだが、基本的には予備知識がない人にも楽しめる構成になっている。
落書きからは文学作品などと違って、当時の人の生の声が聞こえてくるから面白い。
今と変わらないような選挙ポスターから、他人への中傷、愛の告白、剣闘士の応援など、およそ我々が落書きしそうなことはなんでもある感じだ。
風俗店の壁に「来た、見た、やった」とカエサルの名言のパロディが書かれていたなど、知的ユーモアのある落書きもあり、かなり高度な都市文化が花開いていたであろうことが想像できる。
まさに、古代のポンペイ人たちの姿を眼前で見る思いだ。
当時のローマ人の識字率についてなど、興味のない人には面白くもないだろう箇所もいくつかあるが(私は興味があるので、楽しめたが)、歴史好きには文句なくお勧めの一冊だ。