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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
強く印象に残る短編集,
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レビュー対象商品: 優しくって少しばか (集英社文庫) (文庫)
何気なく読んでみたら、素晴らしい作品ばかりなので驚いてしまった。それぞれのタイトルからソソられるものはない。あまりピンとこない。しかし、これが読んでみると唸らされた。表題作はもう付き合って長いと思われる男女が電話で会話するだけの話である。男の主観で描かれるのだが、とりとめのない会話の中で男なら誰もがたどったことのある思考の過程が膝を叩いて喜んでしまうくらい楽しく描いてある。 以降の作品はすべてどことなく不気味で不安な作品ばかりだ。ミステリ色が濃い。「西洋風林檎ワイン煮」は、奇妙な味のホラーだ。女が鍋の中で煮込んでいるのは何なのか、気になって仕方がない。 そして、そして本書の中で一番気に入ったのが「ポール・ニザンを残して」。コレ読んでびっくりしてしまった。良質のミステリではないか。このラストの切れ味の良さはどうだろう。心地よいショックだ。この一作を読むためだけでも本書を買う価値はあるといえる。その後、角川ホラー文庫から「屑篭一杯の剃刀」という自選恐怖短編集が出たが、「ポール・ニザンを残して」は、そこにも収録されている。 とにかく、この短編集はめっけもんだった。いまだに強く印象に残っている。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
例のパン屋,
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レビュー対象商品: 優しくって少しばか (集英社文庫) (文庫)
『優しくって少しばか』は主人公の男性が彼女の部屋に泊まっている時の独り語り。主人公も彼女も風邪をひき、会社を休んでぐったりとしながらおしゃべりをしている。とりとめのない話だが、そこには新鮮さがあり、安心感が漂っている。また、文章も多用される間、音の響き、言葉のつながりが重視され工夫されている。「優しくって少しばか」なのは、主人公の独り語りに出てくる「例のパン屋」のことである。他、『西洋風林檎ワイン煮』、『雑司ヶ谷へ』など、男性の視点から見た女性のミステリアスな部分が巧妙に描かれている。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
原田氏の幅を感じる作品,
By tesu (東京) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 優しくって少しばか (集英社文庫) (文庫)
先ず最初の「優しくて少しばか」は彼の人となりを表した作品と位置づけられるかもしれない。彼の作品群の中では、最も克明に心理描写が行われている。その心の中に一瞬に繰り広げられそして次の瞬間には消えている感覚、感情、思考を余すことなく文章に置き換えるこんな作業を行った結果、彼は、心の中の思考のスピード感、連続性を表現するために句読点を使用しないという新しい表現方法を見出したのでは無かろうか。主人公の感覚、思考に同化出来た部分では、通常の文章とは異質の臨場感を味わうことが出来た。しかし、主人公と一旦感覚・思考がズレた途端、文章を追う事すら非常に困難となるのである。実に面白い読感だし、彼の実験的なチャレンジを素晴らしいと思う。2作目の「西洋風りんごワイン煮」では、一転して某TV局タモリ司会のホラーサスペンス短編の脚本を思わせる作品。 3作目の「雑司ケ谷へ」。これは、非常に興味深い作品で、男が感じとる女の描写としては相当高いレベルではないかと感じさせられた。 4作目は、ショートホラー 5作目「ポールニザンを残して」は、とにかくお洒落な物語。 6作目は、ある過去に対する現在の認識を変えることが出来れば、それは過去を変えたことと同じだという面白い切り口で描かれたもの。 以上、著者の自画像とも思える作品が冒頭にあることによって、後の作品の味わい方が全然違ってくる。そんなことを実感しましたよ。
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