本格的な儒教理解は、本書の編纂者である加地伸行氏が中公新書から出している「儒教とは何か」を読むことをお勧めするが、豊富な写真やチャートで儒教の世界をヴィジュアルに解説した「儒教の本」は持っていて決して損はないものである。「論語」や「孟子」などの儒教原典を読む際にも重宝するだろう。現代においての儒教の本場は、共産主義化された中国でもなく、高度経済成長を遂げた日本でもなく、伝統が脈々と息づいている韓国である。本書は韓国での生きた儒教に関する記事が豊富である。韓国には「道人村」という村が南部の智異山という山の中にある。孔子や祖先を奉じ、ハングル教育さえ拒否し、物質文明から距離を置き、古来の儒教の礼を守って生活する人たちがいるという紹介はとても興味深い。