日中韓3カ国で30代以上の独身女性の実態を追い、自身の身の上も踏まえて著者があれこれと思いを馳せたこの本。売り手としては「2匹目のドジョウ」を狙った企画であることは明らかだし、「儒教」という切り口も正直「どうだかなー」と思わなくもない。
けれども、ソウルの「老処女」、上海の「余女」の生き様を見せてくれる座談会は(それぞれの「勝ち犬」座談会も含めて)、実にストレートでリアルで、単純に興味深い。両国における常識的なことに対する予備知識を大して持たぬまま乗り込んだと見える著者の新鮮な驚きぶりも、ある意味そうしたリアルさを際立たせてくれているのかも知れない。
(ところがそうしたイノセントさの一方で、加地伸行とか『女大学』とか『列女伝』とかを読んでたりする。こうしたアンバランスも個人的には不思議でかえって新鮮に思える。)
で、東アジア三都の旅を終えた後に、インターネットアンケートに基づく著者の考察が続くわけだが、ここがまた筆の冴えているところで、女性たちのそれぞれの人生に共感し、心配もしつつ、何とかそこに希望を見出そうとする。僻み根性も依存も超えたところでさりげなく「覚悟」を促す結びは、いかにも著者らしくさらりとした読後感を呼ぶ。
思った以上に読み甲斐のある一冊であった。