童謡マザー・グースの歌詞に見立てた連続殺人という、画期的な
アイディアでミステリの世界に新たな地平を拓いた記念碑的作品。
ひとつの法則に則って連続殺人を犯し、そうした異常性を誇示することで、
真の動機を隠すミスディレクションとするという手法は、本作以降、多くの
作品で用いられ、現代に至るまで連綿と、その発展的継承が続けられて
います。
原点たる本作で印象深いのは、犯人の動機が、意外と卑小で世俗的であること、
レッドへリングの泳がせ方がなかなか巧いこと、そして、何といっても結末で炸裂
する、名探偵ファイロ・ヴァンスの“逆ギレ”(笑)といったあたりでしょうか。
あのようにせざるを得なかったヴァンスに同情しつつ、そういえば、クイーンの
某作でも
似たようなことがあったことを思い出し、なるほど、あれのルーツでもあったのかと認識
を新たにしました。