痛烈なディスや歯に衣着せぬ内容で物議を巻き起こしているラッパー、キリコの1stアルバム。
本作では、同業者を始め、トラックメイカーから始まり、レコード会社、レコード販売店、リスナーまでもがディスの対象となっています。
但し、ディスといってもユーモラス曲や極端に崩したフローの曲を交える等、飽きさせない工夫も施されています。
各曲の内容を要約すると下記のようになります。
「現在の日本のHIPHOPシーンは、かつての含蓄に富んだリリックや、挑戦的なトラックメイキングが鳴りを潜め、耳当たりがいいだけのトラック(2. freedom jazz dance)や、中身のないリリック(7. セルアウトをする気分を味わおう♪等)、工夫のないフロー(13. 耳を疑うフロウ)が幅を利かせている。そのような状況をレコード販売店も支持しており、挑戦的なレコードはそもそも棚に並ぶことすらない(9. レコード販売店と私)。
その結果かつての熱狂的なリスナーはどんどんHIPHOPから離れて行き、シーンは縮小していっている。
しかし私は、そんな状況になってもHIPHOPを見捨てることはできない。何故ならHIPHOPを心から愛しているから(16. 愛するが故に私が出来る事)。」
表現方法やトピックの特異さ(全曲が日本のHIPHOPシーンに対するもの)のため、とにかくリスナーを選ぶ作品ですが、共感できる人にとっては「よく言ってくれた!」という痛快な作品でもあります。
またディスの裏側にあるHIPHOPへの熱烈な愛情も、共感を呼ぶ大きな要因の一つであるといえます。
2008年リリースの2ndでも基本的な姿勢はそのままに、よりユーモラスに、音楽的な進化を遂げた音楽を聴くことができます。
個人的には2006年のベストディスクです。