人材の流動化が進んでいるとはいえ、これほどの転職歴を持つ人は、まだ少ないだろう。しかも、日本企業も外資系企業も、はたまた企業の倒産までも経験し、単独での転職もあればグループ単位の企画持ち込み転職もあり、情報を得た方法も新聞公募やヘッドハンティングと、あらゆるパターンを経験してきた著者である。その履歴や職業観を通して、会社と自分との距離を見直すことができるに違いない。
また、著者は「多重転職者のハンディキャップ」についても公平な目で描いている。「精神的な拠り所は、自分の『仕事』に対するプライドということになり、会社へのプライドと自分のプライドは完全には重ならない」と書いているとおり、転職を多く繰り返した人ほど、会社と対等な立場で自分という商品をとらえる必要がある。自分の商品価値を高めるために転職を活用してきた著者の考え方から学ぶべきことは多い。また、各章の終わりに転職の心得がまとめられている。実際の転職者でなければ気づかないポイントが網羅されており、参考になる。
著者の目を通し、飾りなく描かれた大手の日本企業や外資系企業の様子は、野次馬気分で読んでもおもしろい。さまざまな企業文化を疑似体験しながら、自由に働く魅力を認識することができるだろう。(朝倉真弓)
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