面白いし、NHKの教養系ドキュメンタリーの歴史を、冨沢さん流に、淡々と、かつ意外なほど詳細に書かれた、人物記的テレビ論だ。「四天王寺界隈」や「荻窪風土記」といった名作の裏側を知れるのもありがたい。師匠の工藤敏樹さん、そのまた先生の小倉一郎さんの系譜や、稀代のカメラマン・葛城哲郎さんのことも、トミさんならではの、洒脱な筆致で、描かれていて飽きさせない。それにしても、テレビで生きることの最大の尊さとは、やっぱり管理職になることではなく、とぼとぼと現場を歩くディレクターであるべきことを、改めて感じさせてくれる本だ。出るべくして出た、待望の本。師匠の工藤さんを送るくだりは、やはり悲しくなる・・・