感情的な描写が少なく、淡々と書かれているが、本書を読む限り、著者の幼少期の経験はあまりに壮絶である。4歳でしょう紅熱(溶連菌による感染症)を患い、5歳で父親が軍隊に召集、その数日後に起こった祖父の死…。また、ユダヤ人であることから激しい差別を経験し、ナチスによる迫害を恐れながら暮らした。
こうした緊迫感あふれる描写の一方で、数々の友人や教師との交流も描かれている。同級生たちからプフィ(太っているという意味)と呼ばれ、自分の容貌に若干のコンプレックスを感じながらも尽きることがなかった女性への興味、学問への飽くなき関心、ジャーナリスト志望だった彼がどうして化学に興味を持ったのかなど、偉大なる経営者、アンドリュー・グローブの知られざる横顔が実に詳細に描かれている。とりわけ、自らの積極的な努力により勝ち取った、新天地アメリカでの第2の人生は実に爽快で、読んでいて気持ちがいい。ビジネス書の趣はないが、充実した人生を得るためのヒントを与えてくれる1冊。(土井英司)
「論理的かつストレートで、しかもシンプルな話を好む」(インテル日本法人の社長だった傳田信行氏)というグローブ氏の人柄がよく出ている。インテルを巨大企業に育て上げた人物の活力の源泉を知ることができる書に仕上がっている。
グローブ氏は亡命から45年以上を経た今でも不測の事態に備え、出張時には“野菜サンド”をカバンに忍ばせているといわれる。さらに「入国審査は、いまでもドキドキする」と語る。第2次世界大戦、ホロコースト、ハンガリー動乱、米国亡命といった体験がいかに強烈だったかが本書を読むとよく理解できる。
最後に一つ苦言を呈したい。表紙などにグローブ氏をインテル共同創業者と記しているが、これは誤り。同社の創業者はロバート・ノイス氏とゴードン・ムーア氏で、グローブ氏は、設立後しばらくして入社した。
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5つ星のうち 5.0
ある少年のなんとも魅力的な成長譚,
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レビュー対象商品: 僕の起業は亡命から始まった!―アンドリュー・グローブ半生の自伝― (単行本)
出版当時インテルの会長だったアンドリュー・グローブ(ハンガリー名 グローフ・アンドラーシュ)の半生記。アメリカでの出版は2001年、日本語版は2002年8月に出ました。先月NHKの「週刊ブックレビュー」で資生堂名誉会長の福原義春氏が本書に一言だけ触れて高く評価している様子を見て、どんなものかと手に取ってみました。結果、これはすこぶるつきの面白さを持った本でした。 グローブがハンガリーで生まれたのは1936年。日本でいえば2・26事件の年です。 ハンガリーは間もなくナチス・ドイツに蹂躙され、ユダヤ人であったグローブはホロコーストの危機に直面します。 やがて終戦。今度はソビエトによる共産化により、暗黒の全体主義国家に生きることになります。 1956年のハンガリー革命を機にオーストリアとの国境を越え、やがてニューヨークへ。 そんな波乱の半生を生きたグローブの国家体制に翻弄される姿は興味深く、時にサスペンスに満ちたものです。亡命のための国境越えのくだりは特にスリリングな映画のようです。 ですが、それにまさるとも劣らぬ面白さを感じさせるのは、普通の男の子の友情や恋、親子の愛情、ユダヤ人に対するいじめ、といった懐かしい少年の日々の思い出なのです。 女の子とのデートやジャーナリストへの夢など、アンドリュー少年は憧れと希望を様々に抱きながら、苦く悲しい挫折もまた味わうのです。ひとりの名もなき少年の大変魅力的な成長譚として、飽きることなく頁を繰ることができました。 アンドリュー・グローブは企業経営者としては毀誉褒貶相半ばする人物のようですが、本書で描かれるその前向きで懸命な---そうまさに命懸けの---人生には、抗しがたい魅力があるのは間違いありません。
5 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
壮絶な人生,
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レビュー対象商品: Swimming Across: A Memoir (ペーパーバック)
亡命の過程が生々しく、米国へ移民する過程に惹きつけられる。アメリカの「強さ」は、こうして「選抜」された移民に負うところも大きいのではないかと考えさせられた。
6 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
凄まじい人生の前半,
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レビュー対象商品: 僕の起業は亡命から始まった!―アンドリュー・グローブ半生の自伝― (単行本)
アンディー・グローブの会社員としての本はいくつかあり、気難しい人物だと言う評価が多いようです。しかしこの本では、彼の壮絶な少年時代を正直に述べており、彼は世間で言われているような人柄ではなく、率直な人物と感じました。
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