同じ出版社から昨年刊行された赤い本(『ネトゲ廃人』)を偶然書店で手に取り、未知の世界、ネトゲに生きる人の存在をはじめて知りました。
今回は「廃人」ではなく、「廃人」のなかの廃人、ネトゲのなかの神である「廃神」。
しかも前作でもっとも印象的だった少年が著者とのこと、まよわず購入しました。
前作同様ルポルタージュでありながら、ネトゲとこちらの世界、両方の魅力を知る筆でかかれた本作は、客観に徹しようとする文章のなかに、ネットゲーマーたちへの共感、反感という相反する感情がみえかくれします。
ルポであると同時に、ふたつの現実に翻弄されながらも奮闘する少年の自伝といえるのかもしれません。
漢字の選択や通常とはちがうコンテクスで使用されるステレオタイプなど、たしかに面喰らう箇所はいくつかありましたが、それもまた新鮮でした。
ネトゲというもうひとつの現実の住人とふたつの現実のはざまを渉猟する少年の言葉をつうじて、意識、無意識にかかわらず、だれもが抱く現実の複数性、複層性へのジレンマをいかに解消し、いかに生きるかを考えさせられる一冊になりました。
それにつけても、まだ十七才。
どのようなかたちであれ、著者の次回作がいまからたのしみです。