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15 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
「僕」の事実は素直に受け取りたい,
レビュー対象商品: 僕の見た「大日本帝国」 (単行本)
いやはや奇特の人もいるものである。かつての大日本帝国を歩いてみようという発想をなかなかできるものではないと思う。 特に奇跡的に残された神社の鳥居にこだわって書かれているようだが、日常に埋没した生活を送っている私のような一般人に、樺太、台湾、旧満州帝国、南北朝鮮、南洋諸島の「今」を伝えてくれる価値のある本だと思われる。 もし著者が本書を企画するのが、もう10年、遅かったら、おそらく本書に書かれている、70代以上の日本語を話せる現地に暮らしている人々(日本人、現地人の区別無く)はこの世にいないだろう。 戦争賛美でも、何が何でも反対という強烈な思想を持たない我々戦後世代の日本人に、あらためて日本のしてきたことを思い知らされる。 蛇足ながら、文体が沢木耕太郎「深夜特急」に似ているのは、カバーの裏にかかれているとおり著者もバスでアジア、ヨーロッパを見て歩いた経験があるからだろう。
42 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
評判以上の素晴らしいノンフィクション!,
By
レビュー対象商品: 僕の見た「大日本帝国」 (単行本)
朝日新聞の書評で「報道ステーション」の加藤千洋さんが誉めていたので書店で手にとってみた。帯の「カソリックの墓地に佇む鳥居(!)」の写真に目を奪われ、思わず買わずにはいられなかった。そして読み始めると、なるほどぐいぐい引き込まれ、ひと晩で一気に読み終わってしまった。まず視点・手法が圧倒的にユニークである。日本時代の痕跡(特に統治の象徴としての鳥居)が日本の元領土だった各地でどんな扱いを受けているか、を徹底的に追いかけ、「反日」「親日」の度合いをあぶり出すという手法に、目からウロコ。単純ではあるがいままで誰も試みたことのない手法である。そして押し付けがましい考察や主張はなく、ただ「見たもの」を「見たまま」に書くというルポルタージュの基本が徹底されている。ゆえにその場で感じる著者の「心象」が語られる部分も説得力をもって迫ってくるのである。TVや雑誌といった従来のメディアからは伝わってこなかった、「反日」と「親日」のリアルがひしひしと伝わってくる。 著者は旅の最後に靖国神社を訪ねて旅を終える。そこでの最後の意外な「発見」は、著者とともに旅をした読者に素晴らしい読後感を味あわせてくれる。歴史好きな人も旅好きな人も必読の一冊。買って損はありません。
34 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
新しい歴史紀行の可能性,
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レビュー対象商品: 僕の見た「大日本帝国」 (単行本)
こうしたテーマを扱うとき、普通、書き手は「入れ込み」すぎてしまうものだと思うが、この本は遠近のバランス、複眼単眼のバランスが非常にうまく取れていると思う。肩肘はることなく、ニュートラルで自然体なのだが、自然体の分、自分の知らない歴史や事実と出会っていく旅の様子がスリリングかつビビッドに伝わってくるのだ。思うに、これは1970年生まれ(以降)という世代に共通の感覚なのかもしれない。同じ1970年生まれの三崎亜記は『となり町戦争』についてのインタビューの中で、「僕らの世代は「戦争に対してイエスかノーか」で簡単に結論を出すことができない」という趣旨のことを語っていたが、この本の著者にも同じような感覚の根っこがあるように感じられた。ローレライの福井晴敏はもう少し若いが、こうした若い書き手がそれぞれの方法で「戦争」というものに向き合い表現しているのは興味深い。本書はノンフィクションだが、今を生きる若い世代の「戦争感・観」を考える時、そうした文脈の中でも語られるべき貴重な作品だと思う。
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