星霊学園に通う結城クロの前に現れた一人の少女、長谷川紫音。彼女は、大切な友人・高嶺志郎の大事な人だった。しかし、クロの恋する彼女は、幽霊だ。
紫音を成仏させるために心残りを聞き出そうとするクロだったが、紫音は少しも協力的ではない。それに、クロが幽霊に接するのを反対する二人の姉、藍子と緋色、それに妹の黄が関わってきて事態は複雑になる。彼女たちはいずれもタイプの違う美少女なのに、重度のブラコン気味なのだ。
それに幽霊に関わると決めたクロの前には、成仏できない幽霊たちが数多く現れてくる。紫音に導かれるままに彼らの成仏に手を貸しているうちに、隠された真実が明らかになってくるのだった。
初めは近親ラブコメかと若干うんざりしたのだが、しかし実は、淡く切ない恋物語であることが徐々に明らかになってくる。そこに、結城家の異能が関わることで、シックスセンスの様な意外性のあるラストへと導くことが出来るのだ。
想いのすれ違いと友情と避け難き別れが生んだ悲劇と希望、そして残された思いに囚われた人々を救う物語になっている。そんな5編の連作短編集。
導入部はラノベらしく少年の部分を刺激し、でも引き込んだ後は少女らしさが全開になる構成なので、甘すぎずどちらかというと切ない部分を見ると、大賞の作品とは対象とする読者層がかなり違うと思われる。男性よりも女性に好まれるのではないだろうか。いや、男性も十分楽しめるけどね。