誰でもその名を知っているのに、何を言った人か説明できる人はほとんどいない、
そんな哲学者たち。彼らを現代日本の女子高生として転生させ、ひょんなことから
彼女らの通う高校に「転入」した主人公に自分たちの思想を説明させるという、
いかにもありそうで意外となかった作品。
ネタバレになるので詳しくは書かないが、彼らの思想の方向性がどのようなものであったか
雰囲気は味わえるので、「小難しい哲学書は読みたくないけど
ちょっとだけ味見してみたい」という向きにはそれなりにおすすめ。
ただ、設定・導入・結末のいずれにも無理があるうえ中核を占める
各少女たちの物語につながりが乏しく、さらに筆者の共感度の差が露骨に出ていて、
近いコンセプトを持つ「もしドラ」以上に小説としては破綻している。
特に結末は、「え、そこで終わるの?」という感じで何とも消化不良。
結末を読者の解釈に委ねるにしても、もう少し本書のテーマに沿った終わり方があったはずだ。
試み自体は面白いと思うのでその意欲は買って☆3つとしたが、
真面目な哲学入門として読ませたいなら多少小難しくなっても
もう少し掘り下げるべきだし、萌え系擬人化(元も人だが)の流行に乗るのなら
性格でも絵柄でももっと各キャラの描き分けを徹底すべきだろう。
色々と中途半端になってしまったのが惜しい。
この程度なら、いっそのこと漫画で読みたい(たぶん1巻で無理なく終わる)。そう思った。