この著者の作品は初めて購入したが、面白かった。
ミステリ要素、エンターテイメント性がうまく溶け合っている。
いつもミステリ要素のある作品を読むときは矛盾や謎が気にかかって、
喉の奥に小骨が刺さったような気分で読み進めるのがあまり好きではないのだが、
この作品は謎解きに主眼を置いているわけではなく、物語が重視されている。それが私に合ったようだ。
7人の人物の自白を通して物語は進むが、それぞれ個性的な闇を抱えていて面白い。
ストーカー警官、毒殺小学生、AV女子高生、不倫主婦、などなど。
アクの強い登場人物のようでありつつも、意外と感情移入させられるところも巧み。
自分もひょっとしたら、同じような状況になったら人を殺してしまうかも…などと思わせる。
謎解き要素が甘いかと言えばそうでもなく、実は伏線などは巧妙に練られている。
詳しく書くとネタバレになってしまうので省くが、各登場人物、
そしてリエの心理が複雑に絡み合って生まれた物語としてよくできている。
オチは気に入らない人もいそうだが、私にはしっくりくるものだった。
謎が解けてすっきり、という読後感ではない。
リエやリョウという登場人物たちの生きざまに思いを馳せるような読後感だった。
ホラー文庫だから怖いのはちょっと…と思っている方は、一度手に取ってみて欲しい。
SF、もしくはエンタメとして読みやすい作品だ(むしろホラー要素はそんなにない)
それにしても、角川ホラー文庫は様々なタイプの作品があって本当に面白い。
今後も楽しみ。