タイトルも聞いたことがなく、存在すら知らない映画だったが、パッケージの少年の表情にひかれて、思わず観賞した。
必ずしも素晴らしくよくできた映画である、とは言わない。説明もセリフも少なく、たいていの人にとっては文化背景もよくわからない状況で、淡々と少年の行動を追っているため、人によってはよくわからず退屈に感じてしまっても不思議ではない。
実際、音楽は雄弁に物語りを彩ってはいるが、多用しすぎて却って映像美を殺してしまっている部分も少なくない。
それでもこの映画がしっかりと踏みとどまって観賞に耐えうるものになっているのだとすれば、それは主人公の少年のまなざしをしっかりととらえたことによる成功だろう。スープをくれてやるという大人に対して「いらない」といい、頼んだスープを「ただでいい」と言われてもしっかり金を置いていく。そういう、「気高さ」を感じさせる、強いまなざしだ。そして少女の、決して美少女ではないが愛嬌があって安心感を与える表情。この二つが、この映画を力強く引っ張って、魅力的なものにし、ポーランドの荒涼とした風景が、少年の孤独を際立たせる。少年の細かな生活のディティールや表情がしっかりしているのも良い。
物語の落とし所や、エピソードの描き方など、個人的には必ずしもすべて肯定はしない。もっと面白く出来る映画ではあったかもしれない。だが、少なくとも見て損しない、独特の存在感のある映画であることは間違いない。