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働くということ - グローバル化と労働の新しい意味 (中公新書)
 
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働くということ - グローバル化と労働の新しい意味 (中公新書) [新書]

ロナルド・ドーア
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

グローバル化が進む世界で、雇用や賃金の不平等が急速に拡大しつつある。労働にとって公正とは何か。

内容(「BOOK」データベースより)

二〇世紀の終わりまでに、私たちはみな週五時間程度だけ働くようになっているだろう―。ケインズの八〇年前の予言は見事に外れた。先進諸国でも、経済競争力強化を理由に労働時間の短縮は進んでいない。グローバリゼーションが加速する中、所得の格差も急速に拡がりつつある。雇用機会や賃金において拡大する不平等に歯止めはかかるのか。半世紀にわたって「働くということ」の意味を問いつづけてきた思索の到達点。

登録情報

  • 新書: 198ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2005/4/25)
  • ISBN-10: 4121017935
  • ISBN-13: 978-4121017932
  • 発売日: 2005/4/25
  • 商品の寸法: 17 x 11 x 1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By もなか VINE™ メンバー
形式:新書
「働くということ」に対して注がれる著者の透徹した眼差しは、究極的には「公正さ」に対する社会的合意をどのように構築するべきか、という問いに集約されていく。そしてその問いかけはグローバル化が進行する現代の「市場個人主義」の負の側面を鮮やかに浮かび上がらせる。
一つには「その仕事は社会的にどのように有用なのか」という問い。「国際貿易取引に必要な額の200倍以上もの投機的取引」が、時折巻き起こす世界的な金融危機等の負の側面を差し引いてなお余りある有意義なサービスを提供しているといえるのか。
また一つには「貪欲さはどの程度まで許容されるか」という問い。平均的給与所得者の1000倍もの所得を得る経営者たちの高給を説明する概念が単に「社会規範の変化」、つまり「貪欲を貪欲とけなすことをためらう傾向」でしかないこと。そしてこの傾向はこの四半世紀のあいだ加速することはあっても逆転する兆しは見えていない。
これらの問いはどれも答えの出せない問いである。だからこそ、常に問い続けなければならない問いなのだろう。
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41 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
多くの示唆に富む書籍だが個人的に最も着目したのは、グローバリゼーション下の「公正」と「収入格差進行による社会的連帯の希薄化」いう著者の指摘だった。著者は「公正は」「各国の伝統文化と関係付け」されるが「起因する」わけではなく「思想・経済・権力」三者間のフィードバックは複雑に連鎖し、一概に過去からの連続性に公正さが担保されるのではない、と明晰な分析を見せる。ここは現在のグローバリゼーションにゆれる日本への示唆として重要だ。直近の雇用調査において「社員」と名の付く形態でも3割は契約・派遣へのポートフォリオが進み、その結果明らかに収入格差は進行する事が予測される。その結果社会連帯性が希薄になりつつある結果、徐々に地盤を固め行く庶民感情傾向は「伝統と保守」への回帰だ。そう考えると小泉政権の「規制撤廃・民営化」等グローバルへの競争戦略を邁進させると同時に、希薄化する「一億総中流」の連帯概念として「伝統と文化の日本」をイデオロギーとせんとしている事が連続的に整理がつく。私自身は左派・右派どちらでもないが、果たして「伝統」というものだけが国家ビジョン=国民統合・行動規範として果たして説得的かは大きな疑問があった。西部邁氏らによる「公民教科書」を通読すると、「伝統」を核として国家行為を整理しても結局説明がつかず、国家戦略自体が各々の時点で注力すべき事柄に実利的にシフトしてる事は明白で、この点もまさに著者の指摘と合致する点だ。「社会モラル低下」「企業経営の混迷」ら多くの問題を短絡的に「過去の日本型理念へ回帰すれば立ち直る」といった具体的制度が提示されない根拠のない言説が一人歩きし、それに縋る傾向もある。しかし、『価値基準』とは混迷の中で全体が悩み、その中で初めて現れる「破壊的創造」ではないだろうか?本書は「伝統の連続性」固執と「金融・株主優先」功利の二項対立でなく、バランス感覚を持って考える機会を与えてくれる。
このレビューは参考になりましたか?
26 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Chi-Chi
形式:新書
 経済学や社会学の古典に関する深く広い知識に基づきながら、最近話題となっている研究や社会現象にも知のネットを張り、日本と世界が進みつつある方向に是非の問いかけを行った本です。筆者が、日本で特に最近めだつ、流行を追い簡単に統計を集めて浮薄な分析を積み重ねたうえに目に付く言葉をふりかけることで評価されている類の研究者ではないことを、再認識させられます。新書という本の形から、彼のこれまでの研究書に比べて論理の隙間や資料補強の甘さが気になりますが、社会の動きを捉える眼力と問題を描き出す洞察力には感嘆させられます。
 著者は、世界はアメリカが追っている大きな所得・地位格差を容認する『市場個人主義』に流れていると言い、それは逆流させるべき流れではないかと問いただしたいのでしょうが、これまでの本に比べ主張を明確にしません。本の最後に書かれているように、その答えが出るときにはこの世にいないという年齢から、われわれへの問いかけを残したまま去るつもりなのかもしれません。あるいは、突き放すことで危機感を目覚めさせるつもりなのかもしれません。
 筆者の生まれたイギリスから最も遠い国である日本は、大英帝国に代表されるヨーロッパ列強による植民地化を免れ、社会的・文化的支配にはいることがなかったのですが、その辺境から、繊維産業を中心にイギリスの経済的影響が及ぶ前線を押し返していったという歴史があります。さらに、その後、日本で練り上げられた雇用制度や企業内組織のあり方は、日本モデルとして一時は世界で最も強いといわれた経済の土台を作ったわけです。彼の最も有名な著書の一つである『イギリスの工場・日本の工場』はそのような流れの中に位置づけられるものと思われますが、その彼が、研究活動を閉じる時期を意識するときになって書いた本を、起こりうるかも知れないかすかな希望として日本ではなく中国を挙げながら閉じることの意味を、われわれは考える必要があると思います。
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